ああ、今は何時か。
周りが赤い。
「っく、 はっ・・・」
口元が、三日月形に歪んでいるのを感じる。
どうして楽しいんだ、自分は。
いや待て そもそもコレは"楽しい"という感情なのか?
「っは、 は・・・! は、・・・!」
掠れたような声しか出ない。
ああでも、のどが焼けるように痛む感触も悪くない。
「勝った、僕は、勝った んだ!」
掠れた喉から、叫び声があがる。
そうだ、勝ったんだ。
僕は、勝ったんだ。
「まだ、死ねない んだ・・・」
次に喉から出てきた台詞は、真実であり 願望である。
死ねない、死ねない。
こんなところで。
僕はまだ、なすべきことがあるんだ。
こんなところで、あの Lの跡継ぎなんかに、
「殺され終わる、わけには・・・!」
足に力をこめる。
が、崩れ階段をひとつ落ちただけだった。
ああ、空が赤い。
こんなときに自分は、何を考えているんだ。
考えろ 考えるんだ。
生きろ、動け、止まるな。
今動けば、あのノートさえ手に戻せば あいつ等の名前を書き込めば。
「もういちど、僕は・・・」
この世界の 、
「・・・ここにいたの、ね 月君」
少し前で、声が聞こえる。
懐かしくも、愛しくも、憎みさえもある声が。
「あ、あ・・・ か?」
ゆっくり、視界をそっちへ向ける。
見えたのは、どこか悲しそうに でも憎んでいるような顔をしていたが一人、立っていた。
「ニア、が 追えと言ったのか」
「ううん、ニアはもう放って置いていいだろうって」
「っは、馬鹿なやつだ。 その油断が、負けだな」
「・・・月君、」
「君は僕を助けに来てくれたのかい?」
そう言われたは真意をつかれたのか、居心地悪そうに目を背けた。
「まあ、何でもいいさ。 助けに来てくれたのなら、君は殺したりしない」
「・・・月君、」
「魅上はもう使えなくなったが、まだ僕は死ねない。 そうだ、君がいれば僕は また、」
「月君」
「またこの世界の・・・」
「アナタは神なんかじゃなかった」
もう一度に目を向ける。
はこちらを向いていて、目は悲しそうなまま、口元が憎しみに歪んでいた。
「は、何を言い出すんだ? あんな子供の戯言を、君も信じたのかい?」
「彼が言ったことは戯言なんかじゃないわ、貴方こそが戯言なのよ」
「僕が? いいかい、僕は勝者なんだ 戯言なんて、」
「貴方は負けた。 ニアに、メロに、Lに。 正義に」
また、口元が歪んだのを感じる。
馬鹿な女だ、あんな奴等を信じるなんて。
長いものには巻かれておけ、とはよく言うがそんなものは負け犬の願望でしかない。
勝者は、自らが長くなるのだ。
自分を貫け、そういう風に 習わなかったか?
「僕は負けてない、まだこれからだ。 死なない、僕は」
「いいえ、貴方はもう死んでしまうわ きっと」
「君が、僕を殺すとでも言うのかい? できるのかい? やさしい君に?」
は、と笑い捨てるとは懐から小型の銃を取り出す。
僕の心臓を目掛けて。
「できるのかい、君に。 君は、犯罪者にそうやって親を殺されたんだろう?」
「う るさい、」
「君はその犯罪者と同じことをして僕を殺すのかい?」
「違 うっ、」
「違わないさ。 君も殺人鬼になるんだ、僕と同じ キラと同じようにね」
「違う、違う・・・! 私は、私は・・・っ!」
向けられた銃口が、揺れている。
の手が、震えているのだ。
「ほら、君は優しいだろう? そんなこと、できやしないさ」
「っ・・・ 貴方はLも、夜神さんも 皆、殺した」
「何かを造るには、今あるものを壊さなくちゃいけない。 人間の歴史だ、違うかい?」
「そうかもしれない、でも 貴方がしていたのはただの殺人よ 神でも、なんでも無い」
ただの殺人鬼、とは銃を下ろしながら呟いた。
「どうして、あんなことを・・・」
「言っただろう? 世界を作り直すためさ」
「・・・私はずっと、貴方がキラじゃないと信じてた」
「それは、光栄だね?」
「私は、ずっと 貴方のこと尊敬してたし 私は、月君を・・・」
は頭を垂れる。
それ以上口にするのがのが辛いと言う様に。
「ほら、ね・・・君は優しい。 でも、そんな君こそ僕の望む新 しい世界、の ・・・?」
「?! 月君?!」
ああ、空が赤い。
爆発しそうな、心臓の痛みの向こうで真っ赤に染まる空を鉄の窓枠越しに見た。
なぜかあのLの姿が脳裏をよぎって、笑みがこぼれそうだ。
なんだかんだで、いい友達だったからか?
ああ、誰かが叫んでいる。
僕の名前を呼んでいる。
月君、月君と そばで誰かが。
ああ、人の声はこんなに柔らかな、優しいものなのか。
それとも、暖かく感じるのはその声の主が彼女だからか。
この世は腐ってる。
それは僕がずっと知っていた事。
でも僕は、最後にもうひとつ新しいことを知ったかもしれないな。
ああ、綺麗だ。
赤に染まる空が。
心臓の痛みは、もう痛みを超えて感じない。
うっすらと狭まる視界で、キラついたものがなんなのか僕は知った。
血のような赤の光に照らされる君の涙が、一番綺麗だと知ったんだ。
(貴方のこと愛してた、の)
赤に別れを告げて、
僕はまた君を知った。
(君の事を僕はきっと愛してた)
END
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わあ、なんですかねこれは。
設定としてはアニメ最終回のあれです
月が廃墟の階段で気を失っていくところ。
リュークが名前を書く前にヒロインは月のところに行って、
月の最期を見届けます。
ていうか暗いっすね!
そして無理やりかんバリバリですね!
でも はい やりきりました(何を。