「あ! 竜崎良い所に!」


ぱあ、と目を輝かせこちらに走ってくる彼女に思わず頬が緩む。


「どうかしましたか?」
「この子預かってて!」

ぽん、と腕に乗せられたのは。






「にゃあ」





「・・・・・・・猫?」


その生き物と見つめ合ったまま呟くと、彼女はこくこくと頷く。


「ウチの子なんだけどね、ちょっと持ってて!」
「は。 な、んでですか」
「ちょっと着替えてきたいの。 大丈夫その子いい子だし」


竜崎は下に目線を戻す。


猫は竜崎としばらく見詰め合って、人懐こそうに にゃあ、と鳴いた。




「・・・みたいですけど」
「うん大丈夫、今まで私見てて他の人に噛んだの見たことないし!」
「そうなんですか」
「オスなんだけどね、男女ともともわず懐くんだよー」
「・・・いい子、なんですね」
「うん、てことで暫くヨロシク!」



そういい残して、本部からバタンとドアを閉める音を残して、彼女は居なくなる。



「・・・騒がしい人ですね、まったく」




そう口では言いつつも、口元が上がる。

視線を戻すと、猫がこちらを見つめている。






「君の主人は素敵な女性ですね、本当に」






そう話しかけた途端、手に熱いものを感じた。



「い゙・・・!!!?」





つう、と猫が放した部分から血が流れる。


シャー、と威嚇しながら猫はこちらを見ていた。




「噛まないんじゃなかったんですか・・・!」
「シャー!!!」
「い!? 何するんですか!」



ぴょん、と腕から飛び降り、威嚇の目を向ける猫。


竜崎はふと気がつく。




「成程・・・分かりましたよ。 私は敵だとみなされたんですね? 彼女に好意を抱いているので」



竜崎がそういうと、猫は分かっているかのようにもう一度鳴いた。






「・・・良いでしょう、一回は一回です。 売られた喧嘩は買いますよ」



















「・・・何してんの?」




着替えを済ませ帰ってきた本物の飼い主は不思議そうに言った。



それもそのはず、戻った部屋には。



綿が飛び出しているソファに、倒れた花瓶。
なぜか傷だらけの竜崎に、毛が乱れている猫。


まるで、喧嘩をしていたような。




しかし、彼女が戻ってきた途端、二人、いや一人と一匹はその場で固まっていた。



「・・・何してんの?」
「え、いや・・・ その」
「にゃーん」
「・・・喧嘩、してたの?」
「いえ。 遊んでたんです、思わず本気になってしまいましたよ」
「でもこの荒れた部屋・・・」
「遊んでたんです超仲良しですよ!」
「そうなの・・・?」
「にゃん」



なら良いけど、と猫を抱きしめる彼女。



彼女の腕の中で鳴いた猫の鳴き方が、

挑発的に聞こえたのは きっと竜崎だけ。









VS人間
(ライバルですね、私たち)







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無理矢理感一杯。