「どう思うっ、メロ!」



「どう思うって、言われてもな」





バン、とそれこそテレビドラマのように飲み干したコップをテーブルにたたきつけ隣の女はため息を吐く。

まあ、一応未成年なのでコップの中身はリンゴジュースなのだが。




「もう、どう思う! 信じられない!」
「信じられないって。 お前もう何回目だよ」
「そう 何回目って感じ! あの女好きっ」


マスターもう一杯、というようにコップを前に出しテーブルにうなだれる彼女。


まあこうなってもしょうがない。




つい先日、愛する恋人の女遊びが新たに発覚したのだから。






「・・・酷いと思わない、彼女が居るのに」
「でもマットはそんなヤツだぞ」
「・・・知ってる。 でも、もっと酷いと思うのは、その 二人であってる子達は『ただの友達』で、私は『彼女』なんだって」
「・・・いいんじゃないのか、それで」


テーブルに頭をつけたまま、彼女は首を振る。


「そんなの、何にも嬉しくない。 ただ他の子たちより、ちょっと特別なだけ。 ほとんど一緒」
「そんなこと、ないと思うがな」
「あるよ・・・。  私、愛されてないのかな」
「それこそ、ない」


メロは心の中でもう一度繰り返した。


それは、ない。





あの、赤毛が。

マットがどれだけこいつを大事にしているかというのは明白である。

ただ、女癖が悪いのも事実だが。


だが、こいつと付き合い始めてから極端に減った。

ていうか、他の女とはただ普通に会って遊ぶだけで何もしていない、なんて今までではありえない。


当の本人は知らないらしいが、マットは本気でベタ惚れしている。





「じゃあなんで、他の子と会うの・・・?」
「・・・それは うーん、アレだ。 男同士で遊ぶみたいに、本気の友達としか思ってないからだろ」
「向こうはどう思ってるかわかんないじゃんか」
「・・・それはそうだが」







相手はどう思ってるか、なんて。




まったくその通りだ。


現に、自分だって、








「私、メロの事好きになればよかったかなあ」











「・・・なんだいきなり」
「メロ女遊びしなさそうだし」
「馬鹿言うな」
「・・・・そだね。 マット好きになったら、こうなるだろうなって分かってたし」
「それでも 好きだから続いてるんだろ」
「・・・・・うん」



ふー、と息を吐く彼女を横目に飲み物を口に入れる。









こいつは好きになっちゃいけない、とか。

こいつはマットの彼女だ、とか。

そんなこと冗談でもいうな、とか。





ぐるぐると、言葉が頭で回る。


ふいに彼女のケータイがなり、彼女が出、相手がその彼氏だと気づく。


横目で見れば、あんなことを言いつつも彼女は幸せそうであり。










「・・・めんどくせえな、俺」


一方
(ブレーキ壊れる前に、降りれたら楽なのに)








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メロ→ヒロイン⇔マットというなんとも言い難い複雑設定。 これも友達の恋愛を思い出しながら書いた覚えが・・・(結構周りのこの恋愛状況からこっそりネタをもらっている人)