「竜崎君、今日は生徒会無いの?」


終礼のチャイムが鳴り、皆ががやがやと教室から出て行っているとき。

荷物をまとめていると、声をかけられた。


「今日・・・ は無かったと思いますが」


そう言うと、担任である彼女はにっこりと微笑んだ。

悔しいくらい、綺麗に。


そんなことを思った次には、先生は続けた。


「そう、 じゃあ良かった」

「は? 何でですか」

「今度の学園祭のしおり。 閉じるの手伝ってもらえる?」


───じゃあ一緒に帰ろうか、 のような。

甘い理由を期待した自分が悪かった。

学級代表は、雑用係と名前を変えるべきだと思った。









「それにしても助かった、 もー先生だけじゃ忙しくてねー」


ぱちぱちとホッチキスでプリントを束にしていきながら先生は笑う。

自分も束にしながら、少し大げさにため息をつくと先生は なにそれ、と笑う。


「さっすが学級代表・生徒会会長の竜崎君だね。 忙しいのに手伝ってくれるなんて」

「ええ、無理矢理でしたが」

「やだなあ。 ちゃんと報酬は用意してあるんだから」

「何ですか、報酬って」

「そうねえ・・・  うん、ジュースかしら」

「・・・安いですね」


贅沢よ、そう言って先生は笑った。


───先生は、   綺麗 だ。


今年から正式な教師になったばかりで、まだ若く まだ学生気分が抜けていないのか

先生は他の先生に比べると全然明るいし、疲れてないし  何より、綺麗だ。 とても。


それに。   ───無防備だ。


「でも本当に助かった。 ありがとうね、竜崎君」

「いえ、 いいですよ。 委員だし」


そう言うとさすが会長、そう言って先生は笑いながらぱちぱちと束を積み上げていく。


「第一、これ別に先生がしなくとも生徒に一人ひとりさせれば良いじゃないですか」


そう言うと、先生はそうなんだけどねぇ と言った。


「ほら、皆今年で最後だからってクラスで必死じゃない? だから、私は私なりに思い切り取り組めるようにしたいの」

「いい事言ってますが、そのうちの皆の中に自分も居るのですが?」

「うんだから、ジュース奢ってあげますって」

「安いですよ」

「それ以上何を望むのよ」


そう聞かれて、自分で言っといて反応に困ってしまった。

そんな自分を見て 先生はくすくすと笑った。


───じゃあ、   それなら 。



「よし、完成! 竜崎君もあと少しだね」


先生の嬉しそうな声ではっとする。

ん、と大人なのに先生は堂々と伸びをした。

思わずその子供らしさに笑うと、先生はちょっと照れたように笑った。


「夕日沈むねえ」


そう子供のように窓を見て呟いた先生を見て、 もう自分は笑ったり出来なかった。


「お。 竜崎君も出来上がった?」

「あ、はい。 報酬、ちゃんともらいますからね」

「はいはい、ちゃんと奢りますよ」


そう言って先生は微笑む。

ふと。 ジュースじゃ足りない報酬が脳裏をよぎった。


暮れ時、教室。
(───じゃあ、   それなら 先生が欲しいです。  、なんて。)








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生徒竜崎。

純な竜崎(年下)書きたかったのに 超憎たらしいですね、このこ。←