貴女の星は、







「ほら、 竜崎!すごいよ!」

「言われなくても見えていますよ」

「相変わらず冷静だなぁ。 すごいすごい!」


彼女の頭上には、輝く彼女の目に負けないくらいの星の海。

今回の捜査はわりと都心から離れた場所なので、と彼女が屋上へと私を連れ出してきたのだ。

星が、見えるからと。



「すごいねー、 綺麗・・・」


見渡せないほどの空を仰ぎながら、しみじみと彼女はため息交じりで呟いた。

私もいつも曲がっている背中を少し伸ばして、空に広がる星を見る。

幾千万の星たちが。 ・・・そんな小説じみた台詞が、よく似合う星空だった。



「人って、 死んだら星になるのかな」


空を仰ぎ始めてしばらくして、ふと彼女が言った。

なんですかそれ、と私が聞くと知らないの?と彼女は首をかしげた。


「小さいときに絵本とかで聞いたりしなかった?」

「絵本ですか。 ・・・あまり、」

「そうなの? あのね、人は死んだら星になるんだって」


まあ所詮、空想なんだけど と彼女は笑った。

何億年前の光を発している星々を見ながら、彼女は言った。


「でも素敵だと思わない? L、」

「何をですか?」

「死んだら星になる、なんて」

「・・・・・ そうですか?」

「そうだよ、だって 死んでも誰かに見つけて貰えるでしょ? がんばって光っていれば」

「・・・そういう考え方なら 素敵でしょうね」


馬鹿にしたでしょう、と彼女は笑う。

そんな彼女を見て ふと、ひとつ頭に思い浮かんだ。



「──もしも、私よりも先に 貴女が星になったら私はきっと、貴女を毎日見つけますよ」



彼女がきょとん、と私を見た。

私が少し微笑むと、彼女が少し首を傾げてから 笑った。


「ありがとう、L。 でも、Lをおいて逝ったりなんかしないよ?」

「たとえばの話ですよ」

「でも、これだけの中から私って見つけられるの?」

「ええ 勿論ですよ」

「何その自信。    ・・・・・ありがとね、L」

「さっきも聞きましたよ」


彼女はちょっと拗ねたように笑って、私を抱きしめた。

私が彼女の背中に腕を回すと、 嬉しそうな声が聞こえた。



「だいすき、 L」


貴女がもしも星になったら、私はすぐに見つけられる。 (なぜなら、)


「私も 愛してます、 」





天体観測
(貴女の星は、私にしか見えなければいい。)
(私にとって一番眩しいのはきっと貴女でしょうから)

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L。

今回の「星になる」話然り、いつかの「雨は神様の涙」然り。
空想とわかってはいますが そういうの、好きです。