パズルの様に､
埋めて 抜いて 壊れて 失くす｡
────･･･ 失くしたピースは､ 最後にならないと気づかない ･･･────
｢･･･何やってるの？ Ｌ｣
｢パズルです｣
部屋に入ってきたには目もくれず､Ｌは下を向いたまま答えた｡
｢パズル､かー｡ 苦手なんだよねそれ｣
｢どうしてですか？｣
｢ピース｣
｢ピース？｣
｢ピース､失くしちゃうんだよね｣
｢･･･失くしたら完成しませんね｣
｢うん､だから私が作ったパズルはいつも抜けてるの｣
｢そうですか｣
パチ､パチ とＬは下を向いたまま答える｡
Ｌは､急に体が重たくなったのを感じた｡
後ろを向くと､背中にがもたれ掛かっていた｡
｢････何するんですか､重いです｣
｢女性に重いとは失礼な｣
｢･･･パズルの邪魔です｡ どいて下さい｣
｢冷たいね､Ｌ｣
Ｌは諦めたのか､ため息をつきながら再びピースを打ち始めた｡
｢･･･｣
長い沈黙の後､Ｌが口を開く｡
｢本業はどうしたんですか？｣
｢･････････泥棒｣
｢知ってます｡ 仕事は無いんですか｣
｢ある､けど･･･｡ 面倒なのよね｣
｢いいんですかそれで｣
｢さあ､いいんじゃないの？ 別に｡ っていうか､犯罪者にこれ以上犯罪させていいの？ 探偵さん｣
Ｌは口元を緩ませながら言う｡
｢犯罪じゃなかったらいいでしょう？｣
｢･･･また仕事？｣
｢そうです､頼みます｣
｢嫌よ､Ｌの仕事しんどいんだもん｡ ウエディに頼みなさいよ｣
｢ウエディには違う仕事を頼んでいるんです｣
も頬を緩ませる｡
｢世界の名探偵は人使い荒いわ｣
｢世界の大泥棒は面倒くさがりですね｣
相手がきっと今 笑っているであろうことを二人は､くっついた背中から感じていた｡
｢･･･はパズルですね｣
｢いきなり何を言い出すの｣
｢パズルみたいです｣
｢何で？｣
｢私の暗い埋まっていないところを埋めていく｡ パズルのピースみたいです｣
は笑って言った｡
｢何それ｡ 告白？｣
｢そうかもしれませんね｣
｢私はＬのピースなのね｣
｢みたいです｣
｢なるほど｡ じゃあ､｣
は背中から離れ､Ｌの真正面に座り込み､ひとつのピースを持って言った｡
｢あえて､ひとつ失くしてあげる｣
｢･･･返してください｡ パズルが完成しません｣
｢完成しないように 失くすの｣
｢何故ですか｣
｢完成しなかったら､絵は不完全でしょ｡ ピース探さなきゃなるでしょ｡ だから｣
は立ちあがって言った｡
｢名探偵Ｌ､あなたの新しい仕事は『盗まれたピースを探し出す事』です｣
｢･･･なるほど｡ 私の依頼した仕事を放棄して､逃げるという事ですね｣
｢そ｡ ピース､取り返せたら仕事してあげる｣
Ｌは やっと顔を上げ､楽しそうに微笑みながら言った｡
｢私､探すのは得意ですよ｣
それを聞いて､も楽しそうに笑って言った｡
｢逃げるのは得意よ｣
｢じゃあ､明日からでも捜査を開始します｣
｢ええ､じゃあね｣
｢｢次に会うときまで｣｣
ばいばい､と手を振っては部屋を出て行った｡
ピースをなくしたパズルは､今だ未完成のままＬの傍にあった｡
｢･･･なかなか､手ごわいですねは｣
Ｌは未完成のパズルを見ながら呟いた｡
｢･････････告白､ですか｣
この気持ちが好きならば､ この気持ちも未完成｡
あとひとつ､ピースが足りないから｡
貴女という ピース｡
自分を少しずつ 少しずつ､埋めて
ひとつ､抜かれたピース｡
それがそろえば､パズルも 気持ちも
完成する｡
｢･････───Ｌ｣
｢ワタリか？ どうした？｣
｢･･･が｣
｢見つけたか？｣
｢見つかったのですが･･･････｣
｢どうかしたか？｣
｢心臓麻痺だ､と｣
｢･･････････何？｣
｢心臓麻痺で倒れ､国内の病院で死亡が確認されました｣
｢･･････････心臓 麻痺､ ？｣
机から落ちるパズルの音に合わせて､
バラバラと 何かが崩れ落ちるのが分かった｡
落ちて壊れたパズルは､沢山の穴が出来ていて､ 周りには沢山のピースが散らばっていた｡
私のパズルは､いつまでたっても未完成｡
たとえ､掻き集めても 探し出しても
完成する事は､無い｡
失くしたピースの大切さは､失くして 最後にその重さが分かる｡
私がなくしたピースは､二度と戻らない｡
いつまでも
いつまでも
パズルも 自分の暗い心の闇も
いつまでも､完成はしない｡
ひとつの穴を残して｡
パズル
(いつまでも、いつまでも 未完成。）
END.
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後書き
むちゃくちゃですいません(土下座)
ピース､ひとつ失くすとすっごい困ります｡
いっそ､いっぱい失くせばそのまま捨てれるのに､
ひとつだけだと未練が残ります｡
失くして気づく､大切さ ですね(何)
モノは大切に！(え
ちなみに､心臓麻痺の理由は
『新世界の神(自称)』が､裁きを下したからです｡