「雨降って来ちゃったねえ、竜崎」

                                        「そうですね・・・」













                                        は憂鬱そうにため息を吐いて、壁にもたれた。

                                        竜崎も続くように、壁に背中を預ける。





                                        「雨宿り、すぐに済めばいいですけどね」

                                        「ね。 これ以上酷くならなかったらいいねえ」









                                        は持っていた買い物袋を地面に置き、もう一度ため息をついて数歩先の世界を見る。



                                        灰色の雲が空を包んでいて、それは透明で灰色の雨粒を落として。

                                        遠くのビルは灰色の世界に溶け込んでいて、近くの建物も雨で揺らいでいる。







                                        (酷くなりそうだなあ・・・)







                                        そんな風景を見て、は少し顔をしかめる。









                                        今日はが買い物当番で、外に出たのだが ちょうど帰りに車に乗った竜崎に遭遇したのだ。













                                        「ああ、今日は当番さんだったんですね。 乗りますか?」

                                        「え? ああ、いいよ歩いていく」

                                        「気にしないでいいですよ?」

                                        「うん、そんなんじゃないよ。 私、歩くの好きだし」

                                        「そうなんですか? じゃあ私も歩きます」

                                        「うん。   ・・・・は?」



























                                        「・・・私は雨男なんでしょうか」



                                        と同じように風景を見ながら竜崎がつぶやいた。



                                        「えー、そんな事無いと思うよ」

                                        「でも私が同行して数分でこのザマですよ」

                                        「まあ元から降りそうだったし」

                                        「にしても、通り雨 って感じじゃないですね」

                                        「だね? まだ時間かかるかなあ」







                                        暫くの沈黙。



                                        ふいに、はつぶやいた。







                                        「神様は、何か悲しいことでもあったのかなあ」







                                        「 どうしたんですか、急に」

                                        「え? ううん、ほら 雨って神様の涙って言うじゃない? だから、これだけ降るから」

                                        「神様の涙、ですか・・・」

                                        「うん。 聞いたこと無かった?」

                                        「ありませんでした。 面白い表現をするんですね。 通り雨は、神様の通り道とか?」

                                        「それは、聞いたこと無いけど。 ありじゃないかな」

                                        「じゃあ今、神様は泣いているんですね」

                                        「多分ね」







                                        竜崎はもう一度そうですか、と言ってから空を見上げた。









                                        冷たい音を立てて、雨は鳴る。



                                        全てを灰色に溶かしていきそうだ、とは思った。









                                        は小さく体を震わす。





                                        「寒いですか?」





                                        それを見た竜崎が、の顔を覗き込む。



                                        「ん、ちょっとだけ。 上着本部に置いてるからなあ」

                                        「・・・私も上着は、」

                                        「着ないよねえ」



                                        が笑うと、竜崎も少し頬を緩める。











                                        「・・・・ あったかいもの、ないかな」

                                        「あったかいものですか」

                                        「んー、ないかな」

                                        「こんなのとかどうでしょう」







                                        は肩、というか体右半分に重みとともに温度を感じる。



                                        目線を少し右に向けると、竜崎が自分にくっついていた。







                                        「・・・ちょっとあったかいかも」

                                        「ですね。 それでもって、楽です」

                                        「若干もたれられてる自分は重いですけど」

                                        「・・・そうですか。頑張ってください」

                                        「おい」





                                        は少し体を傾けたまま突っ込む。

                                        竜崎はなんだか楽しそうだ。







                                        「とう。」







                                        「っ、なん・・・ですかいきなり」





                                        の行動に少し驚いたように口ごもる竜崎。



                                        「この方があったかいし、これ私の方が楽なのよね」



                                        「・・・そう、ですか」





                                        抱きつきながら笑うに、竜崎はため息混じりに笑う。





                                        「これとか、どうでしょう」

                                        「あったかいから 可」

                                        「可、ですか」





                                        竜崎もの体に腕を回した事に、は笑う。







                                        ざあ、と雨音が通る。







                                        「あったかいね」

                                        「ですね」















                                        通り雨

                                        (ごめんね神様、もう少、)



















END





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えるる夢。

短いな はっはっは。



小さいときになんか絵本で 神様の涙って信じてたよなという記憶から。



成長するにつれて雨が降るのは気圧がなんちゃらとか現実的になるけど、まあ こんなのもいいかなと思いまして。





全体的になんか、無理やり感ばしばしですね。