君の声が、
聞こえなくなってしまえば
きっと、
私も、
この花のように 。
「りゅーざきー!」
「 どうかしましたか?」
みてみて、と言うようには手を竜崎の前に差し出す。
「・・・これは」
「そう、椿。 綺麗でしょう?」
「どうしたんですか、それ」
「本部の前の公園でね、今椿満開なんだよ。 ほら、見て」
に言われるまま、本部の高い窓から下を覗く。
確かに、本部の前の道が椿の花でいっぱいになっている。
「それ、切ってきたんですか?」
が花瓶に椿を入れるのを見ながら、竜崎が聞いた。
「ううん、さっき此処に来るときにこの辺の掃除とかをしてるボランティアのおばさんたちが居てね 『椿綺麗ですね』って言ったら切ってくれたの」
花瓶に入れた椿を見ながら、満足そうに言う。
それを聞いて、竜崎はもう一度下を見て 納得する。
「きっとくれたのは、もう時期だからでしょうね」
「え?」
「ほら、下を見れば分かるでしょう もういくつか、花が落ちていますから」
そういわれて、は下を見る。
「あ、ほんとだ。 あー、だからくれたんだ」
「でしょうね」
まあいいけど、と言いながらは花瓶をテーブルの上に置く。
「そっか、椿は花ごと下に落ちるんだっけ」
思い出したように、は言う。
竜崎は下を向く。
風もないのに、葉も揺れずに、
ぽた、 と
もうひとつ、花が落ちた。
「でも、花から落ちるなんて 他の花と違っててなんだか良いよねえ」
「何故ですか?」
「他の花より、ちょっとなんだか寂しいけど 綺麗じゃない。 一番綺麗なまま終わるなんて」
「・・・そうですね」
竜崎は窓から離れ、ソファに座る。
も、テーブルにある竜崎のお菓子をついばみながら座る。
「昔の侍は、庭に椿を植えるのを嫌がったそうですね」
テーブルの上の椿を見ながら、竜崎が言う。
「そうなの?」
「花ごと落ちるのを嫌がったんです。 花のときに、落ちますから」
「・・・なんで」
「首が落ちる、とでも考えたんでしょうね」
竜崎がそういうと、は複雑な顔をする。
「そっか、そういう考え方もあるんだね 私は、綺麗だと思うんだけどなー」
「は、そう考えるでしょうね」
竜崎は紅茶を飲みながら言う。
「竜崎は、違うの?」
「・・・・・・そうですね、 私は」
竜崎は目の前の椿を見ながら、呟くように 言った。
今の私は、
昔の侍と同じで
堕ちるのを、嫌がる
時期が過ぎれば
堕ちてしまうのを
ふと、そのまま
終わってしまうのを
君の声が、
聞こえなくなれば
君が、
居なくなってしまったら
きっと、 私は
この花のように
なくなってしまうのが、
恐ろしく怖い
ぽたり、 と
椿が落ちるのが見えた。
花椿
(今までなら、きっとそんな風には思わなかったのに 。)
END
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久しぶりすぎ竜崎。
ていうかなんだこれ
甘くないし
謎ですね 謎!
極限に短いではないか!(@太陽のアニキ
・・すいません
書き直すやもしれません。