ティアラ

















小さな頃に読んだ本に、書いてあったの。

女の子は結婚する時、相手からティアラを貰うんだって。

大好きな人のお姫様になれる、愛で出来た魔法のティアラ。



いつだったか、金色に輝く春の午後に、Lとひなたぼっこをしながら話した、幼い頃の夢物語。





冬の、寒くて静かな夜だった。

キラ捜査本部は全室冷暖房完備で、中にいる私は寒くなかったけれど、外には雪がちらつついていた。

私は雪と同じ色のパジャマを着て、ベッドに座ってずっと雪を眺めていた。



?」



ドアがノックされて、Lが部屋に入って来た。

Lは私を見て笑顔になると、白い箱を持ち上げて私に見せてみせた。



「あなたの好きなチョコレートケーキですよ。一緒に食べましょう」

「うん」



Lの後ろからワタリさんが入って来て、紅茶のセットをテーブルに並べてくれた。

カップに紅茶を注ぐと、ワタリさんはすぐに部屋を出て行ってしまった。



「神戸から取り寄せたチョコレートケーキです。きっと美味しいですよ」



私はベッドを降りて、Lの側まで裸足で歩いていった。

そしてLの隣に座って、フォークを手に取った。



「いただきます」

「あ、ズルイですよ。先に食べるなんて」



大きな窓の向こうには夜が広がっていて、このずっと先には朝があるなんて、全然想像出来なかった。

太陽を追いかける月も今は厚い雲に覆われて、見えない星の代わりの様に、小さな雪が瞬いていた。

私とLは並んで座って、他愛ない話をしながら甘いケーキを食べた。







Lの声の調子が真剣なものに変わって、私はLの顔を見た。

鋭い瞳、世界の名探偵の顔。



「もうすぐ、私がキラではないかと疑っている男が、ここに来ます」



静かな夜だった。

雪が、全ての音を奪ってしまったかの様に。

これが嵐の前の静けさでなければ良いと、私はチラリと思った。



を危険な目に合わせてしまうかもしれません。……怖いですか?」

「ううん。Lがいるもん」

「私は怖いです」



目を伏せる様にして、Lは言った。

私が伸ばした手を、Lが強く握った。



……、今の内に、私が死ぬ前に言っておきたい事が……」

「なんでそんな事言うの?」

を愛しているからです」



Lは少しだけ微笑むと、ジーンズのポケットを探った。



「キラ事件の全てが終わったら」



私には、Lが泣いている様に見えた。

涙を流しているのは、自分の方なのに。



本当は怖かった。

自分の危険よりも、Lが死んでしまうかもしれない事が、たまらなく怖かった。



Lは私の涙に口付けてから、優しい笑顔で言ってくれた。



、私と結婚して下さい」



ポケットから取り出した物を、Lは両手で包む様にして持っていた。

銀に輝く、愛の宝石ガーネットが嵌め込まれた、小さなティアラ。

御伽噺のお姫様が冠している様な、愛の結晶で出来たかんむり。



Lの言葉に返事をしようとして、だけど嗚咽の所為で言葉にならなくて、私は何度も頷いた。



「愛してます、



そっと、私の頭にティアラがのせられた。

Lの手が、微かに震えているのが分かった。



「L、愛してる……! 私も……っ」



静寂が満ちる夜に、愛を伝え合う言葉だけが響いた。

この睦言だけは雪に奪われない様に、私はLにしがみ付いた。

ゆっくりと、優しいキスが降ってくる。

たとえLの行く先があの世であろうとも、私はLについて行く。

いつまでもLのそばに在れますようにと、私は沈黙した夜に祈った。































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白亜の叫び





うはああああああっっvvv

霜月様ー!!! アリガトウゴザイマスー!!

駄目です、悶え死んでしまいます。



プ・・・プロポーズなんて・・・一生ついていきます。

Lが格好良すぎます、素敵です。



切ない感じも最高です。



本当有難うございましたvvv