「どうして、・・・・!」
表情に笑みを残したまま、ゆっくりと膝をつくヴォルデモートには思わず駆け寄った。
傍まで行き、肩を持つか一瞬迷ってからはヴォルデモートの肩を持ち 少し苦しそうなヴォルデモートの目が開くのを待った。
ヴォルデモートはゆっくり目を開き、目の前のに少し笑った。
「何て顔を、してるんだ お前は・・」
「ヴォル、デモート・・ どう、して 」
その問いにヴォルデモートはちょっと情けなさそうに笑って、何も言わなかった。
数回咳込んで、ヴォルデモートはをじっと見た。
白い肌は、いつも以上に白く窓から漏れる月の光りに照らされ紅い目は一層深く見えた。
ヴォルデモートに見つめられ、が何も言えないままでいると ヴォルデモートはゆっくりと口を開いた。
「何故、・・こうした?」
「あ、貴方が・・憎かった、 から・・ 」
消えるような声で、は答えた。
その答えにヴォルデモートはまあそうだろうな、と笑った。
「私が、貴方を殺そうとしているの 分かっていたんでしょう?」
「ああ 最初からな」
「貴方程の魔法使いなら、私の術なんて跳ね返せたでしょう?」
「当たり前だ」
「じゃあどうして、避けなかったのよ・・・っ」
込み上げた様にはそこで言葉を切った。
その様子をヴォルデモートはただ、見ていた。
「どうして、か 」
少し間があって、ヴォルデモートは独り言のように言った。
がヴォルデモートの目を見つめてどうして と消えるような声で問うと、少し口角を上げた。
「お前を愛していたからだ」
はえ、と言葉を失ってヴォルデモートを見た。
ヴォルデモートはじっとを見つめていた。
「う、そでしょう・・?」
「俺様も、死に際まで嘘はつかん」
そう言ってヴォルデモートは笑った。
「俺様は、お前を 愛していたんだ。」
は呟くように嘘、と言って小さく首を振った。
ヴォルデモートはそんなの反応にまた、笑った。
「・・私が、貴方を殺そうとしているのをわかっていたのに?」
「ああ」
「それでも私を・・・ 私を、愛していた って、?」
「ああ。 ・・だからこそ、術を避けなかった」
「・・・どうしてそんな」
「お前が俺様が居て厭なら、それならば。と思ってな」
「私になら、殺されても良い、と?」
ヴォルデモートはそういわれて、乾いた笑いを漏らした。
「愚かだと思うか」
「馬鹿よ、ヴォルデモート・・・ 本当に、馬鹿だわ、」
「俺様も自分で思った。愚かなことだとな」
「馬鹿だわ、・・・」
「俺様は幼少から馬鹿とはあまり言われたことがなかったが・・・ 悪い気はしないな。 そんな風に、泣きながらいってもらえるなんて な。」
「ヴォ、ル ・・・・」
ヴォルデモートの手がそっとの頬に触れて、は自分が泣いていたことに気がついた。
溢れた涙は一滴、また一滴とヴォルデモートの手をつたって流れた。
「 ・・・、」
先程より低く ヴォルデモートが名を呼んだ。
が目を開けると、ヴォルデモートが今までに見たことの無い優しい目をしていて はただじっとその紅い目を見つめていた。
途端、ヴォルデモートが少し苦しそうに咳き込んだ。
「ヴォルデモート・・・!」
「、・・愛していた お前を。 俺様は人の愛し方なんて知らずにいたから こんな風にするしかできなかったが」
「・・ヴォルデモート、わた・・私は・・貴方が、憎かった。私の大切な人を殺めた貴方が。 でも、・・・」
「結果、例えお前に憎まれる理由になろうが 俺様の傍で働いてくれたことに感謝 して、いる」
「ヴォル、もう 喋らない で、っ・・・!」
ヴォルデモートは数回深呼吸をして、ゆっくりの髪を撫でた。
「せめて一度くらい抱きたかった」
「っ、馬鹿、」
「ああ。残念ながら体力ももうないしな。 だから、」
ぐ、っとを引き寄せてヴォルデモートは口付けた。
唇が離れて、目を丸くしているにヴォルデモートは微笑んだ。
「これで十分だ」
そうしてどこか苦しそうに少し眉間にしわを寄せてからヴォルデモートは言った。
「愛してる、 ・・・・・・」
「貴方が憎かったの、ヴォルデモート」
目を閉じたヴォルデモートに向かって、が言った。
ぽたり、と涙がヴォルデモートの頬に落ちる。
重い体を抱きしめて、は消えるような声で、泣いた。
それは、静かな夜のこと。
(私も貴方を、愛してたの )
(今更気づくなんて馬鹿馬鹿しいけれど、)
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久しぶりの更新が死ネタしかも殺害ネタでごめんなさい。
殺害ネタは以前デスノでやったのですが 猟奇的なのを意識した前とは違って
今回は切ないというか、哀、というのを意識してみました!(だからなんだ)
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