「あれ、リドル君じゃない どしたの」


走って来た僕を見て、先輩は微笑んだ。

先輩の隣に居た男が僕を疎ましそうに見た。

僕はそれを無視して、笑って話す。


「これ、先生が先輩に渡しといてくれって。 なんか、授業のプリントらしいです」

「あ、前言ってたやつか。 わざわざ探してもって来てくれたの? ありがとう」


そう言って先輩は笑った。

先輩と関わる口実が出来るなら、容易いですよ。  なんてことは、言えなかったけど。


風が吹いて、校庭の木と草が揺れる。

同時に、柔らかく先輩の髪が風に靡く。

思わず、その髪の流れを目で追う。

隣に居る男が、もっと疎ましそうに僕を見た。


「もう日も沈むね、 あ、そだ ねぇ」


思いついたように先輩は隣に居た男に笑いかける。

───僕の底で何かが疼いた。


「私ちょっとリドル君に話があるんだ」


だから先言ってて、そう男に告げる先輩を僕はただ見ていた。

男は笑って そう、わかったと言って 手を振って先輩に見えない角度で僕を睨んだ。

───は。

心で笑った。  ああ、優越感というやつか。


「それでね、リドル君」


先輩がちょっとしゃがんで僕に目線を合わせる。

と言ってもほとんど変わらないので、さっきとあまり変わりは無い。

ただ少し、顔が近くなっただけだ。


「何ですか、 先輩」

「リドル君さ、 年上って興味ある?」


僕は笑った。


「ええ、まあ  人によりますが」


───何かが僕の底で疼く。

先輩は綺麗過ぎる笑顔で、 そう、と言った。


「私の友達がリドル君に興味あるみたいで。 こんど紹介して良い?」


───僕は馬鹿だなあ、と思った。


「ええまあ、いいですけど・・・」

「ありがとう、 きっと友達も喜ぶわ」


先輩は相変わらず綺麗に笑う。

夕日に照らされて、もっともっと、綺麗に。


「でも正直吃驚。 リドル君て、どちらかと言うと年下似合いそうなのに」

「そうですか? 僕は別に年上でも好きになりますよ?」

「ん、なんだその言い草は。 さてはリドル君、年上に恋をしたことがあるね?」


楽しそうに先輩は笑う。

僕は何故か分からないけど溢れる笑顔で続ける。



「ええだって、 僕は先輩が好きですから」



先輩はちょっときょとんとして、こら、と細い腕で、手で、僕を小突いた。

年上で遊ぶな、と怒られたので本気ですよと言ったら、

なっまいきだなあと笑われた。


そう笑う笑顔が、何より綺麗で何より愛しくて何より独り占めしたいんです とはまだ言えなかったけれど。

暮れ時、校庭。
(いつの日か、その細い腕を引っ張って押し倒して抱きしめて、その髪を撫でるから今は笑っててくださいどうぞ。)








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後輩リドル。

今回のアンケートの中で歴代の拍手のなかで
ここまで怪しいあだるとちっくな雰囲気なのがあっただろうか。(書いたのおまえ・・・