「おはよう、ハーマイオニー」
まだ眠そうにあくびをしながらジニーが暖炉の前で温まっているハーマイオニーに挨拶をする。
「おはようジニー」
あくびをしながら近寄るジニーに笑いながらハーマイオニーは答える。
「おはよう、」
ジニーは目をこすりながらハーマイオニーの隣に座っている女子生徒に声をかける。
その女子生徒は、ジニーを見て小さく笑って 頷いた。
人形姫
「おはようー」
「おはよー」
もう朝食へと大広間へ行くころ男子寮から降りてきたハりーとロンはハーマイオニーとに声をかける。
ジニーはついさっき、自分と同じ学年のこと出て行ったところだった。
「遅いわよー、ジニー達先に行ったのよ?」
あきれるわ、というようにハーマイオニーは言う。
「ごめんねー、つい・・・」
「ロン、二度寝したら止まんないからさー」
「ハリーもだろ!」
「どっちもでしょ。 もう、もずっと待ってたんだから」
ね、というハーマイオニーには少し困ったように頷く。
「ごめんよ、二人とも」
ロンがもう一度そういうと、は少し笑いながら頷いた。
四人で太った婦人から外へ出た瞬間、の視界は暗くなる。
「?!」
「おはよう姫ぇー」
「朝から可愛いよー」
暗闇の上・・・というか体の両サイドから声が聞こえる。
は困ったように手をその両サイドから引き剥がそうともがく。
「フレッド、ジョージ! 私の可愛いになんてことを!」
暗闇の向こうで吠えるハーマイオニーの声が聞こえる。
「またそういうことするー。 が困ってるじゃないか」
ロンもあきれたように言って、ハリーも同意する。
「そうだよ。 ていうか毎日飽きないね、二人とも」
双子は手を離し、を開放する。
は慌ててハーマイオニーに駆け寄る。
「大丈夫、?」
返事の代わりに、はこくこく と頷いた。
それを見て双子は少し残念そうに言う。
「僕たちはただと言葉を交わしたいだけなんだよな、相棒」
「そうとも。 だが姫はなかなか口を開いてくれませんな」
それを聞いてロンとハリーも頷く。
「は本当に喋らないよね」
「同学年の僕らでも今まで話したの聞いたことないもんね」
「あらぁ、私はあるけどねー」
ちょっと得意げにを抱きしめながらハーマイオニーが言う。
「ええ! うそだろ?」
「うそじゃないわよ。 ジニーも話したことあるわよ」
「僕ないのに?!」
「女同士の絆は偉大なのよ」
ね、とハーマイオニーに抱きしめられながらは口元を上げながら頷く。
それを見て、ロンは言う。
「まあでも、話さなくてもわかるよね」
「って表情に出るしねー」
ハリーも頷く。
「でも僕たちは聞きたいんだよな」
「そうそう。 わが姫の声を」
納得するハリー達に少し不満そうにフレッドとジョージは言う。
「そのわが姫って止めなさいよ、は私の・・・ ?、どうしたの」
に服のすそを引っ張られ、ハーマイオニーはを見た。
は自分の腕時計を指差しながら見せる。
もう朝食が始まる時間である。
「遅れちゃう! 先生に怒られるわ!」
「え、本当に?! ウワ、待って!」
「待ってて僕のトーストォォォオ!」
ばたばたと去る後輩を見届けて、双子は口を開く。
「何度見てもは可愛いですな」
「本当に人形のようですな」
「喋らないから余計に人形みたいですな」
「聞いてみたいよな、声」
「まあ頑張ろうぜ、兄弟」
「おう」
そういって、大広間へ走っていくのだった。
は小走りで廊下を走っていた。
図書室で借りた本を読んでいたら、もう就寝時間ギリギリになっていたのだ。
慌てて階段を駆け上がり、廊下を走り、角を曲がっては鼻をぶつけた。
は鼻を押さえながら前を見る。
暗くてよく見えないのだが、明らかに自分より大きい何かにぶつかった。
「? 何だよ」
その大きいのが振り返って、は凍りつく。
それは7年生の男子で、しかも喧嘩っ早いと有名な人物だった。
「お前、確かグリフィンドールの・・・」
は慌てて頭を下げ、来た道を帰ろうとする。
すると、腕をつかまれ進めない。
恐る恐る相手を見ると、相手はにやりと笑う。
「あれだよな、例の喋らない人形みたいなってのは?」
「・・・・・・」
は手を振りほどこうとしたが、細いがゴツい7年生に勝てるわけがない。
「ぶつかったら普通謝るだろ、なあ? ほら、しゃべれよ」
「・・・・・・・」
ぶんぶん、とは首を横に振る。
うっすら目に涙がにじむ。
相手は面白そうにに近づく。
「何だよ、その口は一体何なんだァ? おい」
は首を振る。
涙があふれんばかりに目に溜まる。
「絶対声で謝るまで返らせね・・・ ?!!」
どさ、と言う音とともに相手はひっくり返る。
ごろり、と隣に本がぎっしり詰まった鞄が二つ転がる。
「誰が、声を聞くって? なあフレッド」
「僕たちも聞いてないのに何を言ってるんだろうね このゴツいのは」
振り向くと、ジョージとフレッドが鞄を顔面ストライクさせたままのポーズで立っていた。
「大丈夫?」
ジョージがつかまれていた手を握る。
「絶対これ石鹸で何回も洗うんだよ」
「ジョージ、僕らの鞄もだよ」
「ああ本当だね」
フレッドは二人のかばんを拾っての目線にかがむ。
「大丈夫?」
はこく、と頷く。
同時に、溜まっていた涙が床へ落ちる。
「まったく!このデカブツ、どう仕立て上げてあげようか」
「わが姫を泣かすとは最低ですぞ」
「実験体に決定だな、W.W.Wの」
ちょっと楽しそうにフレッドとジョージはいまだノックアウト中の7年生を見て笑う。
そして振り返り、の顔をもう一度のぞく。
「大丈夫? 」
は返事の変わりにこく、とうなずく。
「また何かあっても、僕らが駆けつけてあげるから」
は二人の顔を交互に見てから、うなずいた。
フレッドとジョージは笑って、かがめていた腰を直す。
「なんてったって僕らはわが姫の騎士だしね」
「助けるのは当たり前だよな」
「ていうかフレッド。今何時」
「えー? もうすぐ就寝2分前?」
「・・・あ、り がとう・・・」
「やばいじゃん。 帰ろうか」
「そうだね、じゃあ も・・・?」
「え、今・・・ ?」
二人は振り返ってを見る。
は二人を見て、少し目をそらしながらもう一度呟くように言った。
「あり、がとう フレッド、ジョージ」
名前を呼ばれた二人は、口をあけて目を丸くする。
は少し恥ずかしそうに目を俯かせる。
「え、今 僕の名前・・・」
「ていうか 声、出し・・・たよね、?」
二人は相変わらず目を丸くしたまま、に目線を合わせる。
は目を泳がせながら、小さくうん、とうなずいた。
双子はお互いの顔を見て、もう一度目の前の少女を見て、口元を上げた。
「いやぁー、幸せだねえ兄弟」
「まったくだ。 わが姫からあんな褒美をもらえるとはね」
「・・・褒美、なんてつもりじゃ 」
「おお! また!」
「本当に声綺麗だよね。 何で喋んないの?」
二人に挟まれながらは寮へと歩く。
に名前を呼ばれたことがよほど嬉しいのか、フレッドとジョージは満面の笑みだ。
はまだ少し恥ずかしそうに、目線を下にしたまま歩いていた。
「うまく あんまり喋れないから・・・ 喋るの、嫌いなの」
ぽつり、と呟くように言うに 二人は思わず抱きしめたい衝動に駆られる。
「まあこんな声、ほかの奴等が聞いたらもったいないし」
「僕らだけの特別だよ。 ああ、ハーマイオニー達は別で」
「あ、のね ジョージ、フレッド」
「「なんだい? 姫」」
「その、姫って言うの恥ずかしいから やめ・・・」
「あああああああ!!! !!!!!」
とは違う別の女子の叫びが聞こえたと同時に、フレッドとジョージの間から少女は消える。
「もう帰ってこないから心配してたのよ! ホグワーツ探知機使えないから心配で心配で!」
「は、ま おに・・・っ」
「ああ私の可愛い! 何もされれない?! そこの双子っ! 何もしてないでしょうね!」
ぎぅぅぅ、とを抱きしめながらハーマイオニーは呆気にとられている二人を見て言う。
「失敬な! 僕達はを救ったんだよ!」
「そうだよ! むしろ何かしたかった方だよ! できなかったけど!」
「んまあ! 何をする気だったの吐きなさい!」
「うるさいわ、さっさと寝なさい!」
廊下で騒ぐ生徒に渇を入れる太った婦人。
騒いでいた三人は口を閉じ、開いたドアへ足を入れる。
「・・・まあいいわ、なにもされてなさそうだし」
「だからしてないって言ってるじゃん」
「ひどいよね、ハーマイオニー」
相変わらずを抱きしめたままハーマイオニーはあくびをする。
「もう寝ましょうか 」
こく、とは頷く。
「じゃあおやすみなさい、二人とも」
「「おやすみ、グレンジャー嬢」」
先に階段を上るハーマイオニーを見送って、二人はに手を振る。
「「おやすみ、 また明日」」
は笑って、頷いた。
「おやすみなさい、」
(ああ君はやっぱりお姫様!)
(だからその姫ってやめて・・・)
END
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相互で美帆様にささげます双子。
遅すぎてすいません
意味不明すぎますね、コレ 何ですかね、コレ。
喋らないヒロインってなんですかね いやもう本気ですいません。
煮るなり焼くなり削除するなり埋めるなりなんでもしてください。
だいぶ本気で遅れましたが、こんなんと相互してくれてありがとうございました!
白亜