「貴女が好きです」









始 ま り は い つ も 突 然 に 、








「・・・・・・・・・・  は?」



放課後 校舎裏 二人っきり

そんな素敵過ぎるほど整ったシュチュエーションで、目の前の六道 骸くんは告白してきた。



「・・・えと、その、  ・・・私貴方のこと知らないし」



あれこの人確か最近なんか生徒会?風紀?だっけの偉いさんに就任したとか聞いたけど

なんだ ナンパ野朗ですか。



「僕だって知りませんよ 君の事」



言ってる事矛盾してませんか、何か



「え・・・ 知らないのに告白したんですか」

「ですから 知りたいと思いまして」

「 は、」

「気になって知りたいと思ったんです。 立派な告白の動機でしょう?」



まあそうですね間違ってませんけどええええええ。



「それに、貴女も僕のこと知ってるでしょう」

「知りませんよ」

「僕の名前は?」

「六道 骸、くん  ・・・ですよね」

「ほら知ってるじゃありませんか」



満足げに六道くんは微笑んだけれども いやそりゃあ生徒会?風紀?の偉いさんに転校して数日でなったっていう人のうわさの名前は聞いてましたけど。

別に自分から知ったわけではないのですよ。



「 ・・うんでも六道くん、私は貴方の事本当名前くらいしか知らないし、」

「じゃあ知ればいいじゃないですか」

「・・・・・え、うん 言ってる事間違ってないけど なんか違、」

「僕は君を知りたいし、君も僕を知りたい そうですよね」

「ううんなんか違うなんか違うよ六道く、」

「じゃあもう返事は良い方で受け取っていいんですよね?」

「うんだから違うよねって言うか人の話聞いてますか六道く、」

「じゃあもう僕はの彼氏ですね」

「だから人の話聞いてます?っていうか何さり気なく名前呼びなんですか って、あれ」



彼氏?

























「さあ一緒に帰りましょう 



にこやかに私の靴箱前に立っている六道くん。

あれ以来、ご苦労様ですというほどきちんと毎日帰る時に彼は居る。



「毎日何回も言うけど私六道くんと付き合った覚えない」

がなくても僕はあるので」



はい解決、と微笑む六道くん。 ものすっごい殴りたい。

だがいつもこれで戦意喪失して結局なんか一緒に帰ってしまっている自分が情けない。



あの超一方的告白から2週間ほど。

2週間のうちに知った六道くんの事は(別に知りたくもなかったけど)、

超一方的で(つっこむのに体力がいる)なんか敬語で(癖らしい)外見は良くて(一人でいると大抵取り巻きが集まってる)、



「本当には可愛いですね。」



・・・超甘(っていうかベタ)。



にこにこと嬉しそうに微笑みながら六道くんは言う。

何も言わず え、 みたいな顔をしている私を見てさらに嬉しそうに言う。



「そういう、純なところとか。」

「・・・・・純って言うかただ単にちょっと引・・・・・ うんありがとう」



六道くんは特有のくふふ、という笑い方をして私の手を握った。

ちょ 何してるんですか、手をつないでるんです、やめてください、嫌です。

そんな会話をしながら歩いていたら、城島くんと柿本くんが現れた。



「あーおめー! 骸さんになにしてんら!」

「え むしろされてる方なんですけど」

「骸さま 誰ですかこれ」

「え、 さまって何 もしかして柿本くんの弱みでも・・・」

「クフフ 犬、千種。 は僕の彼女ですから、何も心配は要りません」



ぎゅ、と手を握ったまま六道くんは二人に微笑んだ。

城島くんと柿本くんは目を丸くしていた。

私はぶんぶんと首を振った。



「・・・   まじれすか骸さん」

「ええ、まじです」

「いや違うし」

「骸さまがそう言うなら・・・」

「じゃあ僕はとこのまま帰りますので」

「いやだから違うって」



私の弁解の声は聞こえていないのか、城島くんと柿本くんは二人でそのまま行ってしまった。

私が半分睨みで六道くんを見ると、六道くんは微笑んだ。



「ばれちゃいましたね」

「君が言ったんでしょうが君が!」



私がそう怒ると、六道くんはまったく動じず微笑んだままだった。

しかも手をつないでいない手で、私より身長が高いのを良いことに私の頭を撫でた。



「あれ照れてるんですか? もう可愛いですねえは」

「だから違うってば! もう、学校中に知れたらどうしてくれるの」



撫でられてびっくりして後ずさった私を見て、六道くんはちょっと首をかしげた。



「いいじゃないですか 公認で」



行き場を失った私の頭を撫でていた手を わきわきしながら六道くんはそう言った。



「良くないっ 六道くんは本当に超一方的なんだから」

「なんだか僕をすごく知ってるみたいな言い方ですね」

「知ってるもん 一方的で敬語で外見は格好良くてベタなの」

「悪口に聞こえますね」

「だって、 ・・・悪口じゃないけど別に」

「僕のこと嫌いなんですか?」

「そんなこと言ってないよ、六道くんの事は好きだよ? でもさっきみた、い な・・・・・・・?」



六道くんを見ると、とても満足そうに でも嬉しそうに笑っていた。



「  私、今、なんて言った?」

「僕のこと好きだと」

「それは空耳だと思う、よ」

「いいえ? ちゃんと聞きました」



そう言うと六道くんは私を引き寄せ抱きしめた。

私が硬直していると 背中に腕を回してもっと抱きしめた。



「嬉しいです、



そう言われたのが耳のそばで聞こえた。



「ち、 ちがっ・・・!」

「おや違うんですか?」

「ち、  ・・・えと違わなくはないかもしれないけどその、」

に好きだといってもらえて、とても嬉しかったのに」



ちょっと寂しそうに聞こえて、なんだか慌ててしまう。

自分でもどうして慌ててしまうのかも分からないまま。



「わ、私はだから その、六道くんのこと 」

「そろそろそれやめて欲しいですねえ」

「え、何を」

「その 六道くん です。」

「・・・・・・・・・は」

「下の名前でいいですよ」

「    え、  むく ろ?」



ええそうです、そう言いながら六道くん───骸、は私の体を離した。

嬉しそうな骸の笑顔が、目の前にあった。

私が何も言えずただ骸を見つめていると、骸はにっこり微笑んだ。



「ではもう一度。 さんはい」

「・・・・・・・・・・ 何を」

「さっきのはなんだか勢いっぽかったですから。もう一度聞きたいですね」

「だから何を」

「告白を」



目を点にしている私を見て、骸はクフフと笑った。

何も言わない私を見て おや言いませんか、そう言った。



「じゃあ僕からもう一回言いましょうか?」

「 っ、え いい!言わなくていい!」



じゃあどうぞ、というように骸は私を見た。

何だかんだでこの一方的に負けている自分が情けない。



「・・だか、ら 私は骸のことがす、」





「僕も大好きです、



唇を奪われて途中で言うのを止められた私がぽかんとしていると、骸は笑った。



「あ。 そういえば途中で切ってしまいましたね。す、までしか聞いてません」

「なっ、なっ、なっ・・・!」

「もう一回言ってもらえます?」

「いっ・・・・・・嫌です!」

「えー、 でも聞いてません僕」

「知りません! 骸に好きだなんて一生言ってやんない!」

「今言ったじゃないですか」

「! ・・・骸、なんか き、きら・・・っ」



嫌い、そう言い切る前にまた唇を奪われてしまった。

顔を離して骸は楽しそうに笑った。



「そんなこと言わせませんよ」

「も、む、骸なんか知らない離せ馬鹿!」

「嫌です」



恋 心 も 突 然 に 。










END






++++++++++++++++++++++++



一方的骸ゆめ。

背景が桜なのは、季節が春だからであんま関係ありません(・・・)
最初は桜の花言葉でいい感じなのがあればそれを理由にして使おうとか思ったのですが
桜の花言葉は「純潔・心の美・優れた美人・精神美」で、なんか駄目なので 可愛いから使った、としかいえません。

いや最近骸シリアスとか暗いのしか書いてなかったので可愛そうで・・・ なんか。

久しぶりに(ていうかリボーンだけじゃなく全部のジャンル含め) 両想いを書いた気がする(・・・)。

(好きだといわれたあのときから、きっと私は 。)