ゆらゆら揺れるカーテン、





「オラ、課題やったのか?」


ガラッと音を立ててドアを開けると、そこには一人の女子高生。

遊び盛りな女子高生にとって、教師の俺にとっても 可哀相な夏の補修にこいつは呼び出されていた。

つい1時間ほど前にプリントを数枚手渡し、自分は職員室に逃げ込んでいたのだが この部屋も涼しい。

まったく、最近の子供は贅沢に・・・ではなくて、あんな数枚のプリント30分で片付けられるはずなのにまったく来ないので見に来たら


「寝るなよ、 俺だって眠いんだぞ」


椅子に座ったまま巧いこと壁にもたれ掛かってそいつは眠っていた。

そいつの傍でカーテンがクーラーの風にゆらゆら揺れていた。


「ったく・・・・・   なんだ、もうほとんど出来てるじゃねーか」


近づいて机の上を見ると、私はプリントは後一枚を残し仕上がっていた。

休憩をしようとでも思って、そのまま眠ってしまったのだろうか。

ゆらゆら揺れるカーテンの影で、光と影にゆらゆらそいつの顔が照らされる。

普段は五月蝿いやつだが、こうも黙っていると


「美人に見えないこともないんだけどな 、うん」


そう思わず呟いた。

すうすうと、気持ちよさそうな気持ちよさそうな寝息が聞こえる。

ゆらゆら、カーテンが揺れる。

ゆらゆら、光が揺れる。

ゆらゆ ら、






「 ? ・・・・・あ、先生?」

「! て、てめっ・・・急に目開くなよびっくりするだろうが!」

「は、・・・・・ ていうか先生さっき私に顔近づけてなかった?」

「は?」

「え、なに 惚れた? いやーん」

「勝手に言ってろ。 デコに肉って書こうとしてただけだ」

「馬鹿教師!」

「るせー。 早くプリント仕上げやがれ」


わかってますよー、とぶーぶー言いながらまたプリントに目を通し始めたそいつを横目に見て、教卓の椅子に座る。

暫くその様子を見つめてから 揺れるカーテンの向こうの青々しい空を見る。

真っ赤に燃えるお天道様並に俺の中は熱されていた。


(あと少しだったんだけどな、   なんてな。)


首を振って、プリントを頑張るあいつをみる。

絶対的に、昨日と今日とでは 俺があいつに対する見え方が違う。

昨日まで普通だったのに 今は (まるであいつが太陽みたいにきらきらして見えるなんて 俺は、どこのポエマーだ)。


俺は思わず教卓に突っ伏した。


補修授業
(ゆらゆら揺れるカーテン、あれが全部悪いんだ  きっと)
(おいおい、犯罪なんて冗談じゃねーぞ 本当に・・・)

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(またもや銀時ではなく)銀八先生。

今更だし銀八に限りませんが先生×生徒ネタは禁断ですよね・・・←