「愛していますよ、愛しい貴女」
にっこりと微笑みながら、道化師は私に言う。
私の手をとって、貴方はいつもそう言う。
何も見てない青い目をして。
「幾度廻っても、僕は貴女を見つけてきました 今も、昔も、これからもずっと」
私の目を見て、貴方はいつもそう言う。
何もかも見通す赤い目をして。
「そしていつも私を壊してどこかへ消えていくのでしょう」
「いいえ、最後まで 貴女が壊れるまで傍に居ますよ」
「───骸が私を壊すまで?」
彼は特有の笑い方をして、私の両手をとった。
「そんな言い方は止めてください」
「私は貴方みたいに昔のことは覚えていないけど、初めてあったとき怖かったもの」
彼は静かに笑って、私を撫でた。
「僕は貴女を愛しています、知っているでしょう」
「骸は最初っからそう言っていたわね」
「ええ、最初から」
すべてお見通し、と骸は私に囁いた。
私があきれたようにため息を吐くと、骸は嬉しそうに微笑んだ。
「どうしてそんなに笑うの?」
「貴女がため息を吐くと了解の合図なので」
「・・・誰も良い、なんて言ってない」
「でも思ったでしょう」
「むかつく」
「だからずっと傍に居たと言っているでしょう?」
私の手をとって、道化師は笑う。
「次の舞台は楽しいですよ」
「何処?」
「日本です」
「・・・・・・ は」
「クフフ、あと二人一緒です」
「・・・・・・・ほとほと骸にはついていけないわ」
「大丈夫ですよ、あなたは私が連れて行ってあげますよ」
そういって道化師は、いずれ壊れる人形を抱きしめた。
「骸、私はいったい何なの?」
彼は嗤った。
嗤う道化師、壊れる人形
「貴女はいつまでも僕の玩具なんです」
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むっく。
悪者骸が書きたかった(と、あとがきにかいておりました)(できてねぇ)