「愛してます、 」
甘く囁かれる、声。
頬に触れる、手のひら。
「止めて」
「相変わらず冷たいですね」
「相変わらずは貴方だわ、骸。いい加減にして」
やれやれと首を振りながら骸は手を離す。
「私は貴方が嫌いだって、ずっと言ってるでしょう」
「僕もずっと好きだといっているんですがね」
「しつこいわ」
「そのお言葉、お返ししますよ」
「そういうところが、きらい」
「おや」
それはいけない、と骸は小さく笑ってわざとらしく口を閉じる。
「本当に、気に入らないわ」
立ち上がりながらそういうと、骸は小さく声を漏らした。
「本当に、嫌われてますね、僕は 」
「気づくのが遅いんじゃないの」
目を合わせぬままそう言うと、骸が低く笑った声がした。
「じゃあ、何故 此処に居るんですか、貴女は」
「仕事だもの」
「それだけ、ですか。 本当に?」
「それ以上うるさいと帰るわよ」
それは困ります、と同じく立ち上がりながら骸はの前に立つ。
「僕には、 、貴女が必要です」
「報酬は、よろしくね」
「・・・僕の愛とか」
「訴えるわよ、本気で」
「冗談ですよ。 望むなら、あげますよ」
「いらないわ。 後、そこどいてくれる」
「はい、はい」
部屋から出て、ドアを閉めるときに声がした。
「次の仕事が、成功したら、。 ───・・・・・」
パタン、と音がした。
「── は、」
渇いた笑いが、奥から込み上げる。
目の前に残る彼の亡骸を前に。
「馬鹿じゃない、 私を庇うなんて」
一歩、彼に寄る。
人形の様に動かない彼を見て、自分はまた笑った。
もう一歩。
白い顔が、無造作な髪から覗いて見えた。
「── ・・・きらい」
いつも、笑ってる所も。
「 きらい 」
いつも、触れてくる所も。
「き らい」
いつも、私には似合わない台詞を軽々しく吐く所も。
全部、全部。
「大嫌い 、」
「 次の仕事が、成功したら、。 ──僕に、 」
嘘つき、嘘つき。
「成功してないじゃない」
「 ─僕に、嘘でも 」
嘘つきは骸、貴方だわ。
「嘘つきは大嫌い、大嫌いなのよ」
つう、と流れるモノが、彼の頬に落ちた。
そういえば誰かが言ってた、女を泣かせるのは最低だと。
嘘をつくのも。
ましてや、好きな女に。
嘘を、つく、やつなんて。
「きらいきらいきらい、大嫌い」
最期まで、ずっと、貴方は。
私を愛して。
私を庇って。
私、を。
「きらい、きらい、── ・・・・ら、 い・・・」
あふれる、溢れる、あふれてゆく。
「 次の仕事が、成功したら、。 ──僕に、」
最期まで、貴方は。
私に、ずっと、言わせないまま。
これからも、言えない様に。
私がどれだけ愚かだったと、
「 僕に、嘘でも良いですから、愛してると言ってくれませんか 」
ずっと、私に嘘を吐き続けろというの。
真実を言わずに。
まるで、今までの罪滅ぼしのように 私はずっと、これから、 うそ、を 。
「あ なた、が ──大嫌いよ」
この世で、一番。
きらいきらい嗚呼貴方が大嫌いでした
(愚かさに気づいてももう貴方は何も私に言わせてくれない、から、きらいよ)
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っ、暗!
うん、暗いしシリアスだし死ネタなんですけど
結構気に入ってます、これ。