ある男は、
お姫様に恋をしました。
「・・・、?」
「どうかしましたか?」
「うーん。 なんでもないけど」
「なんでもないように見えませんよ?」
そういって、骸はを抱きしめる。
骸の腕の中で、は声を曇らせる。
「変な、夢 見たいなの見たの」
「変な夢?」
「うん、なんか・・・ 骸が悪者みたいな」
骸は笑う。
「何ですか、それ?」
「わかんない。 私は本当は骸じゃない人と一緒に居て、骸が私をさらっていくの」
「・・・ 夢、ですか」
「でもどうせ夢だし。 ね、骸」
を腕の中に閉じ込めたまま、骸は頷く。
「・・・───そうですね、夢です。 あなたの傍に居るのは 僕ですから」
「うん・・・──」
男は、お姫様が欲しくてたまりませんでした。
何としてでも 彼女が自分の傍にいて欲しい
そう思いました。
しかし、 お姫様には
彼女を愛している護衛の男が居ました。
彼はひと時も 彼女の傍を離れず
彼女を愛していました。
また彼女自身も、
彼が傍に居るのを嫌だと思っていませんでした。
お姫様は純粋で 自分が護衛を愛しているのかどうかは、分かっていませんでした。
ただ 傍に
彼が居るのが好きでした。
男は、それを大変嫌がりました。
その護衛の男が、邪魔でたまりませんでした。
「にしても、リアルな夢だったなー」
骸の腕の中から出て、骸の隣に座ったは改めて呟く。
「そうなんですか?」
「うん、だって 相手の顔まで覚えてるもん私」
「それは・・・。 やきもちやきますねぇ」
「え、夢に?」
がそんな真剣に言わなくても、と言うと 骸はの髪を撫でながら言う。
「貴方は僕のお姫様なんですから、当たり前でしょう?」
「おひめさ・・・・・・。 骸って、恥ずかしいよね」
「そうですか?」
「うん、姫ってそんな・・・ 」
「でも相手の男まで出ていて、しかも貴方はその男と居たんでしょう?」
「そうだけど・・・ でも夢だし、そんなに・・・・・・、」
「夢なんかじゃない、」
部屋のドアがドアごと外れて大きな音を立てて倒れる。
倒れたドアの向こうに、一人の男が立っていた。
その男を見て、は目を丸くする。
「貴方は さっき、夢 で見た・・・ ?」
がそう言うと、男は部屋に入りながら苦々しく言う。
「言ったでしょ、が見たのは夢じゃない」
「え・・・、? どうして、私の名前・・・」
「君が見たのは夢なんかじゃない、紛れも無い事実だ」
男は二人の目の前まで来ていた。
男は睨みつけていた。
の隣に居る、 彼を。
「六道 骸。 長い間よく見つからなかったね褒めてあげるよ」
は骸を見る。
骸はの髪から手を離す。
そして男を見つめ、冷たく笑った。
「クフフ、久しぶりですねぇ 雲雀 恭弥」
男は、護衛が邪魔でした。
彼から離して、
お姫様を
自分のものにしようと考えました。
男は魔法使いでした。
彼はお姫様に魔法をかけて、
彼女の中から護衛の男を消してしまいました。
そうして、彼はお姫様をお城から
護衛の男からお姫様をさらっていってしまいました。
男は、 彼女を失うのを嫌がりました。
『このまま、ずっと彼女の傍に居たい』
そう願っていました。
でも、 お姫様はある日夢を見ます。
『私の傍に居たのは、 誰?』
彼は、彼女が思い出すのを怖がり
もう一度、魔法をかけなおそうとしました。
しかし、
二人の元に、お姫様を奪われた護衛の男がやってきました。
そして、
お姫様にかかった魔法は解けてしまいました。
「む、く ろ・・・?」
「を返してもらうよ」
「ひ ばり、さん・・・・ ?」
に名前を呼ばれた雲雀は、を見る。
その目は、とても悲しそうに見えた。
「返して、ですか・・・。 嫌ですねぇ」
「返さないなら、奪い返すまでだよ」
カチャ、と武器を構える雲雀。
骸は低く笑い、雲雀を見ながら立ち上がる。
「クフフ、いいでしょう どうぞ、奪い返せるのなら。」
は目の前の二人を見つめる。
視界が、すこし霞んでいる。
「む、 くろ」
小さな声で、は呼ぶ。
呼ばれた男は、 にこりと笑って振り向いた。
「なんですか、?」
「本当に、 貴方は私を ひば、りさんから・・・・・ 」
「ええ、 奪いましたね」
「どうし て、」
がそういうと、骸はまた冷たく笑った。
「欲しかったんです、貴女が。 しかし、貴女にはこの・・・──雲雀 恭弥が護衛のように常に居ました。 貴女がこの男を愛していたのかは微妙ですが?」
「六道 骸、に何をした?」
「何って、別に何もしていませんよ? ただの、恋人同士でしたから」
雲雀は骸を睨みつける。
しかし骸は、また低く笑っただけだった。
「まあ、どっちにしろ 奪い合いをするのなら他の場所でしましょう。 彼女の白い服が汚れるのは嫌ですから」
そういいながら、骸は床に倒れたドアをまたいで部屋から出ようとする。
「骸、どうして そんなこ、と 」
がそう呟くと、骸は振り返って 言った。
「いつの時代でもお姫様は、誰かに奪われ連れて行かれるものでしょう?」
先に部屋を出て行った骸を見た後、雲雀はもう一度を見る。
雲雀は何か言いたそうに口を開いたが、何も言わず首を振り 壊れたドアへ近づいた。
最後に部屋を出るときにもう一度振り返ってから、雲雀は部屋から姿を消した。
同時に、の目から涙がこぼれた。
自分でもどうして悲しいのか分からず、 ただただ
涙が頬を伝うばかり。
遠くから、鈍い音が聞こえる。
は耳を塞ぎ、目をつぶり、 涙が閉じた瞼から溢れる。
「どうして、 どうして・・・─── 」
その呟きが嗚咽に混ざりながら、涙はを濡らしていった。
ぬるい風が、 壊れたドアから流れて来る。
はその入り口をじっと見つめた。
大きな鈍い音が、風と一緒に部屋に響いた。
は、もう一度目を閉じた。
もう、鈍い音はしなくなっていた。
魔法が解けたお姫様は、 ひどく悲しみました。
ただただ 悲しくて、涙を流しました。
しばらくして、片方の男が彼女の元に帰ってきました。
そして、彼女を見て
低く笑いながら、 言いました。
「どうして、 逃げなかったんですか?」
「む くろ・・・・・・・・・・」
「ああ、服がそんなに濡れて・・・ 大丈夫ですか?」
「雲雀、さん は・・・ ?」
「あの男は、 本来居るべきに帰しましたよ ちゃんと、ね」
骸は、涙を流すの目の前に立つ。
そして見下ろしながら、言う。
「貴女には、僕があの男とここを留守にしている間、いくらでも逃げれたはずです。 一人でも、あの男と一緒でも」
はうつむく。
涙が床に落ちる。
「どうして、逃げなかったんですか?」
は首を横に振り、涙を流した。
骸は足を曲げて座るに目線をあわせ、髪を撫でた。
「だから言ったでしょう、 貴女は僕のお姫様だと」
ある男は、 お姫様に恋をしました。
しかしお姫様の傍には、彼女を愛する護衛の男が居ました。
男は、その護衛が邪魔でした。
そして男は、お姫様に魔法をかけて 護衛からさらっていってしまいました。
ある日、 二人の前にお姫様をさらわれた護衛がやってきました。
そして、 お姫様にかかった魔法は解けてしまいました。
真実を知ったお姫様は、とても悲しみました。
自分が魔法にかけられていたことも、二人が自分のせいで傷つけあっているのも
悲しくて 悲しくて、 お姫様は涙を流しました。
しかしお姫様は、逃げようとしませんでした。
男が護衛を傷付けてもとの場所に帰してきても、逃げようとしませんでした。
護衛と一緒でも、一人でも、逃げる機会は沢山ありました。
でもお姫様は逃げませんでした。
「、」
「 むく、ろ ・・・」
「そんなに泣かないでください、もう大丈夫ですから」
骸は隣に座るの髪を撫でていた。
はうつむいたまま。
「骸、 」
「はい、何ですか?」
は骸の服の袖を握り締めた。
「・・・・───愛していますよ、僕のお姫様」
骸はそういって、を抱きしめた。
ある男は お姫様に恋をして、魔法をかけて自分のものにしてしまいました。
魔法が解けたお姫様は 涙を流して悲しみました。
でも彼女は逃げようとしませんでした。
なぜなら、 彼女は
囚われプリンセス
(
その男を愛していました。)
End
++++++++++++++++++
まず最初に、謝ります
雲雀ファン様 ごめんなさい
本当スイマセン
なんですかねあの扱い
出てきて結局・・・ すいません
だからと言って雲雀が嫌いなんじゃありません 本当ですよ
話的に雲雀の方が内容に合うって言うかなんていうかああああ・・・!
とりあえずすいません。
骸ファンにも謝らないといけませんが。
むっくがすっごい悪い人みたいでスイマセン
ちがいますよ 愛ゆえ、愛ゆえです!
途中の童話みたいに書くのが楽しかったですー